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本成寺便り№.35

山主所感《信の風》

 

佐渡の国は紙候はぬ上、面面に申せば煩いあり、一人ももるれば恨みありぬべし。

 

此の文を心ざしあらん人人は寄合うて御覧じ料簡候て心慰ませたまへ」

 

                                      『佐渡御書』

 

  意訳

 

    佐渡の国には紙が無いので、一人一人に手紙を差し上げるのは煩わしく、また一人でも漏れれば不満が起こるでしょう。

    この手紙を心ざしある方は寄り集まってご覧になり、よく思案して心を慰めて下さい。

 

 

 宗祖日蓮大聖人は世界の歴史を見渡しても類を見ないほど多くのお手紙を弟子や信者に残されました。

それらの書物を御書と言い、その大半は、直接お会いする事が困難になった佐渡流罪から身延に入られてからのものであります。

 

 自らも命を狙われていた佐渡流罪中に執筆された『佐渡御書』と称される冒頭の御書には、法難の渦中にある弟子、肉親の死や人生の苦境に喘ぐ門下の心の機微を察して、心情を思いやられる大慈悲心のほとばしるお言葉がつづられています。

 

 

 現在世界中でコロナウイルスによる感染症が蔓延し、人々の体の健康のみならず、心情までも荒んだ状況になっています。

流れてくるニュースは暗いもの、不安なものばかり。

 

 

 佐渡流罪中の宗祖の心持ちは、どうだったのでしょう。

二度と帰ることができないと言われた佐渡流罪。本化の上行菩薩としての使命は自覚されたものの、使命達成に向けて邁進できないもどかしさ、門下への心配。様々な葛藤があったと想像できます。

しかし疑うことなく大覚悟され全てを救うために、皆を幸せにするために法華経、お題目を弘め続けられました。

 

 

 令和の時代を託された私たちも国難と言える現状を乗り越えていかなくてはなりません。

 

乗り越えられる存在だからこそ、託されたはずです。

 

 

 紙が不足していた佐渡でしたためられた『佐渡御書』という一通のお手紙に宗祖は思いの丈を託し、寄り集まって読んでおくれと伝えられたのであります。

 

 

 マスクが無い、消毒液が無いと右往左往するのでなく、令和二年という時代、日本という国、地球という星を託された聖者としての大自覚のもと、信仰生活してまいりましょう。

 

 

 迫害の中、宗祖のお手紙を集まって拝読した弟子や信者の方々は、おそらく宗祖の慈愛に触れ、胸を熱くしたことでしょう。

さらに大難を覚悟の上で、広宣流布に尽力される境涯に、不屈の勇気を奮い起こしたに違いありません。

皆で集まり御書を拝読することで、共に法華経お題目信仰を貫くことを誓い合い、清心な決意で励まし合う姿が目に浮かびます。

 

 

 コロナウイルスによる感染症拡大を避けるために、寄り集まることは出来ませんが、

心一つにしてお題目を唱え国難を乗り越えていきましょう。

 

 

祈、疫病退散

祈、感染症終息

祈、立正安国

                本成寺では朝、昼、夕と日々の勤行で祈り続けています!        住職G